Claude Code Dynamic Workflows Hermes Report · 2026-06-03

Hermes Technical Report

タスクごとにハーネスを
生成するエージェント運用


Claude Code の動的ワークフロー(dynamic workflows)は、「タスクを実行する」だけでなくオーケストレーション層そのものを Claude がプログラムする仕組み。単一の長いコンテキストではなく、タスク専用に生成した JavaScript ハーネスで、クリーンな文脈を持つサブエージェント群を協調動作させる。

発表Claude Opus 4.8 と同時 出典@trq212(Anthropic)の X 投稿 生成日2026-06-03 トーン実務・懐疑・技術寄り

本レポートは fact / claim / interpretation / unknown の provenance バッジで、各記述の出所と確度を明示する。出典は X 投稿(Grok ベースの x_search 経由)であり、公式 API による網羅的スクレイプではない点に留意。

fact 出典で直接支持 claim 著者の主張 interpret 解釈 unknown 未確認

TL;DR

3行で言うと

本質

「単一エージェント+長いコンテキスト」から「タスク専用の使い捨てマルチエージェント・システム」への移行。Claude が実行レイヤーではなく制御レイヤーを書くと捉えると理解しやすい。


01 — 何が発表されたか

Claude Code 内の「動的ワークフロー」

claimAnthropic の Thariq Shihipar(@trq212)が、Claude Opus 4.8 と同じタイミングで発表した機能。中核アイデアは、Claude Code が特定タスクに合わせた JavaScript のハーネス/ワークフローを動的に生成できること。

interpret従来のサブエージェントは「あらかじめ決めた役割を呼ぶ」静的構成だったのに対し、動的ワークフローは制御フロー自体を Claude がコードとして書き起こす点が違う。分岐・ループ・ファンアウトといったオーケストレーションを、自然言語の指示からプログラムに落とす。

静的なサブエージェント呼び出しとの違い

事前定義のエージェントを順に叩くのではなく、「何個のエージェントを、どのモデルで、どの順序・条件で動かすか」を、タスクを見てから JS として組み立てる。結果として、同じ Claude Code でもタスクごとに別形状の一時的マルチエージェント系が立ち上がる。

起動方法

claim「動的ワークフローを使って」等の自然言語、または合言葉 ultracode でトリガーできるとされる。/goal(成功条件)や /loop(定期・バックグラウンド実行)と組み合わせる運用が案内されている。

02 — なぜ重要か

対処する3つの失敗モード

claim出典は、長文脈の単一エージェントが陥りやすい次の3つを、動的ワークフローが狙って緩和すると説明している。

3

ワークフローが構造的に抑えにいく失敗モード

出典: @trq212 の X 投稿 / Grok x_search 要約

① エージェント的な怠惰(agentic laziness)

部分的に進んだだけで「完了」と判断して止まってしまう。→ /goal による明示的停止条件や、ループ系パターンで「条件を満たすまで止めない」を制御フローに焼き込む。

② 自己選好バイアス(self-preferential bias)

自分が出した成果物を、他者の出力より甘く検証・採用してしまう。→ 生成役とは別の敵対的検証エージェントに、別の文脈・別モデルで点検させる。

③ 目標ドリフト(goal drift)

ターンの積み重ねや要約(compaction)の過程で、元の制約・忠実度を徐々に失う。→ サブエージェントにクリーンな文脈と絞り込んだ目的を渡し、ドリフトの起点を断つ。

解釈

interpretいずれも「1つの長いコンテキストに全部を載せる」ことの副作用。文脈の分離と役割の分離を、その都度のコードとして表現できるのが効きどころと読める。


03 — 仕組み

ワークフロー・ランタイムの特徴

claimワークフローは、サブエージェントを生成・協調させるための専用関数を持つ JavaScript ファイル。出典が挙げる主な性質は次のとおり。

保存と再利用

claimメニューで「s」を押すと保存でき、~/.claude/workflows に置く、あるいは skill / テンプレートとしてパッケージ化する運用が案内されている。

JavaScript概念図 — 実APIではない
// interpret: 出典の説明から起こした擬似コード。
// 実際の関数名・シグネチャは出典で確定していない。
const theories = await spawn({
  model: "opus",           // エージェント単位でモデル選択
  worktree: true,            // 隔離 worktree で実行
  goal: "flaky test の再現と仮説生成",
});

// fan-out: 仮説ごとに敵対的検証を並列実行
const results = await Promise.all(
  theories.map(t => verify(t, { adversarial: true }))
);

// loop until done: 1つでも通るまで止めない
while (!results.some(r => r.passed)) { /* 続行 */ }
確度の注意

unknown具体的な API(関数名・引数・並列度の上限・課金単位)は出典の要約からは確定できない。上のコードは挙動の概念図であり、そのまま動くものではない。

04 — パターン

よく使われる5つの型

claim出典が挙げる代表的なオーケストレーション・パターン。多くは組み合わせて使う。

① 分類して振り分け(classify-and-act)

入力タスクの種別を判定し、種別ごとに別の処理経路へルーティングする。

② ファンアウトして統合(fan-out-and-synthesize)

多数のサブタスクを並列化し、各エージェントの構造化出力をマージして1つの結論にまとめる。

③ 敵対的検証(adversarial verification)

専任のエージェントが、別エージェントの成果を「壊しにいく/厳密に点検する」。自己選好バイアスの対策。

④ 生成して絞る/トーナメント(generate-and-filter)

候補を多数生成し、ペア比較やルーブリックで審査して最良を選ぶ。命名・設計など「好み」を要する探索に向く。

⑤ 完了まで反復(loop until done)

停止条件を満たすまでエージェントを生成し続ける。/goal と相性が良い。

05 — 実用ユースケース

効きどころ

claim出典が「強いユースケース」として挙げる領域。共通するのは規模・検証・探索のいずれかでオーバーヘッドが正当化される点。

その他に挙げられた用途

大規模キューのトリアージ(信頼できないデータは隔離)、命名・デザインなど審美的な探索、軽量な評価(eval)、モデル/知能ルーティング。

06 — プロンプト集

プロンプト・クックブック

fact出典の記事に例示されたプロンプト(英語原文)と、その日本語訳。原文は引用、訳は本レポートによる。

Flaky テストの再現

「このテストは50回に1回失敗する。再現するワークフローを組み、仮説を立てて worktree 内で敵対的に検証して。/goal どれか1つの仮説が通るまで止めないで。」

“This test fails 1 in 50 runs. Set up a workflow to reproduce it, form theories and adversarially test them in worktrees. /goal don't stop until one theory works.”

履歴からルール抽出

「ワークフローで直近50セッションを見て、私が繰り返している修正を掘り出して。頻出するものは CLAUDE.md ルールにして。」

“Using a workflow, go through my last 50 sessions and mine them for corrections I keep making. Turn recurring ones into CLAUDE.md rules.”

インシデント分析

「ワークフローで過去6か月の Slack #incidents を掘り、誰もチケットを切っていない再発根本原因を見つけて。」

“Use a workflow to dig through #incidents in Slack for the past six months and find recurring root causes where nobody has filed a ticket.”

多視点レビュー

「事業計画を、投資家・顧客・競合の視点から別々のエージェントで同時に叩き切るワークフローを回して。」

“Take my business plan and run a workflow where different agents tear it apart from an investor's, customer's, and competitor's perspective simultaneously.”

大量ランキング

「80通の履歴書フォルダを、バックエンド職向けにランク付けして上位10名を二重チェックするワークフローを使って。」

“Here's a folder of 80 resumes, use a workflow to rank them for the backend role and double-check the top ten.”

命名トーナメント

「この CLI ツールの名前が欲しい。候補をブレストして、トーナメントで上位3つに絞るワークフローを使って。」

“I need a name for this CLI tool. Use a workflow to brainstorm options and run a tournament to pick the top 3.”

技術主張の検証

「ブログ草稿を、ワークフローを使ってすべての技術的主張をコードベースに照らして検証して。」

“Go through my blog post draft and using a workflow verify every technical claim against the codebase.”


07 — コスト・リスク境界

使わないほうがよい場面

claim出典は「万能ではない」と明確に述べている。オーバーヘッドが見合わない使い方への注意。

10k

明示しておくと安全なトークン予算の例(例:「10kトークンで」)

出典: @trq212 の運用上の助言

判断軸向く向かない
規模大量集合・大規模移行日常の単発コーディング
検証要求高確度の事実・主張確認軽微な確認で足りる作業
計算コスト追加計算が成果に見合うトークンを焼くだけになる
運用の勘所

「Claude が制御フローを書ける」ことは「Claude に制御フローを書かせるべき」を意味しない。規模・検証・探索のどれかが効くタスクに限定し、予算とプラン確認をガードレールにするのが現実的。

08 — Hermes / ローカル運用への示唆

自前ワークフローとの接続

interpret以下は本レポートによる解釈で、出典が Hermes に言及しているわけではない。Hermes 側の既存サブエージェント運用への落とし込みとして。

この HTML レポート生成への含意

本レポート自体は単一エージェントで十分なタスク。動的ワークフローが効くのは、複数レポートの一括検証・出典クロスチェック・大量草稿のランク付けといった「規模・検証」が絡む段階で、そこに限って導入するのが費用対効果に合う。

09 — 出典と限界

ソースと確度の注記

読み方

本文の各記述は fact claim interpret unknown のバッジで確度を示している。実装・課金に関わる判断は、公式ドキュメントで再確認してから行うこと。